なぜ、SNSでは「人が変わる」のか?

SNSで子供たちに対して性的な罪を犯した大人たち。
その多くは、社会のルールを守って暮らしている「ふつうの人」です。
言い換えれば、SNSでは誰もが一線を越えてしまう可能性があります。
それはなぜでしょうか。

社会的に期待される役割からの解放

もっとも大きな理由は、SNSの匿名性によって、私たちは社会的に期待される役割から解放され、「人格」を変化させやすくなるからだと考えられます。

たとえば、学校の先生は、社会や生徒に対して「教育者としての立ち居振る舞い」を期待されています。しかし匿名のSNSでは、その役割を担う必要はありません。

様々な職業や立場から生じる「社会的に期待される役割」から解放され、リアルとは別のSNS上だけの自分が出来上がることで、倫理観が麻痺したり行動の抑制が効かなくなって、誰もが道を踏み外してしまう可能性があるのです。

SNSの罠に落ちないために

SNSは、人と人とのつながりを広げてくれるツールであると同時に、犯罪や加害行為に至る心理的なハードルを押し下げてしまうツールともなり得るのです。
私たち大人は、このことを十分に認識して、SNSを利用することが大切ではないでしょうか。

●参考:土井隆義 著「キャラ化する/される子どもたち〜排除型社会における新たな人間像」、「つながりを煽られる子どもたち〜ネット依存といじめ問題を考える」(以上、岩波ブックレット)